2022年08月20日

内本鹿越嶺古道西段−1:バリサン段(1)

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【写真説明】左写真は藤枝林道方面から国家森林区入口・森涛派出所、(出)雲山林道主線(石山林道と交差)、同林道旧線(見附山登山口方面)を望んだ。前者は同写真左側から真っ直ぐに横切る道路、後者は同写真中央部崩壊部、前者の下側を走る道路。中央写真は筆者の手元の市販地図上では「出雲山管制站」、出雲山(雲山)林道と石山林道の分岐点、嘗ては大型観光バスが行き交いした場所で駐車場だけは残されている。後者は内本鹿古道東段を襲ったもの、現在は専ら卑南主山方面への登山道で、筆者も過去数回自身で車を走らせたことがあるが、この管制站の印象はゼロ。その駐車場脇に、藤枝分遣所跡地から続く、島田、金谷、日坂跡と想定される天通山北峰、天通山の稜線への入り口があることを事後知ることになる。右写真は林道起点から0.75`の崩壊部、最初から修復にダメを押されているようなもの、詰まり雲山林道は全面車乗り入れ禁止である。
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2022年08月27日

内本鹿越嶺古道西段−2:バリサン段(2)

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【写真説明】二箇所の林道崩壊箇所から東側には、中央山脈南一段核心部の実に壮大なパノラマが拡がる。実はこの核心部に視覚的にも対峙したのは初めての経験だった。核心部とはこの場合、内本鹿越嶺古道の越嶺点である。左写真は最初の崩壊箇所より撮影したものだ。林道を含む斜面そのものが流失してしまった部分。越嶺点は、最後方稜線中の中間地点に双耳峰を呈している部分があるがその鞍部で、越嶺点を乗越し中央山脈西側に転じた後、古道は写真左側へと辿る。越嶺点が稜線の真ん中に来るように配したので良く分るかと思う。双耳峰に見える左側が見晴山(標高2,720b)、そのまま稜線を写真左端迄辿ると複数のピークが見えるが、最も左側ピークが卑南主山(同3,295b)だ。中央写真と右写真は、2009年の八八水災から13年目の出雲山林道の荒廃の景観例。(続く)
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2022年09月03日

内本鹿越嶺古道西段−3:バリサン段(3)

【写真説明】林一宏『日本時代臺灣蕃地駐在所』目録上のGPS情報と今回筆者自身が踏査した現地のGPS情報は大きく異なる点(添付ダイヤグラムの上段が今回の踏査対象、下段が林目録情報)に関しては、これ以上の詮索は止めにする。両者の乖離が大きくそうそう容易に現地調査は無理と考えたからだ。この詮索途上で京都在住のM氏より京都大学のデジタルアーカイブ『台湾演習林植物調査報告』(一予報、1931年、 植物調査班、京都大学デジタルアーカイブシステム)の中から実際バリサン駐在所が写り込んでいる写真(第五十五写真)を紹介いただいた。筆者が当日撮影した中に同じ方向を写したものがないか確認したところ、先の投稿で掲載した内本鹿警備道越嶺点を含む南一段方面の写真がそのものズバリだった。その古写真に写り込んだバリサン社と今現在残されているバリサン駐在所遺構位置はどうも異なるようである。古写真のものは中央山脈により寄っている。それで一つの可能性を示唆する為に、バリサン段(1)の中に『理蕃誌稿』からの引用を含めた。要は理蕃事業の変遷に連れ居住地も変化した可能性が高いということである。筆者が起こしたダイヤグラムは筆者の今回の踏査行のGPS情報をベースにグーグル・アースに落とし込んだのだが、これらブヌン族旧社とハイキング目的地が本当に見えていたか?大いに疑問だ。いずれにしろ、そのダイヤグラムと対比させるために、林道第二崩壊地点から撮影した中央山脈東側眺望写真をクロップした。筆者手元の記録では、林道起点1,618b、第1崩壊部1,533b、第二崩壊部1,426b、バリサン駐在所遺構1,277b、蕃里山1,216b。。。と云う具合の下り、写真撮影箇所と遺構との高度差が150b。写真を使った後追いは難しい。(続く)

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2022年09月10日

内本鹿越嶺古道西段−4:バリサン段(4)

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【写真説明】左・中央写真は出雲山林道と馬里渓との初めての出会い、馬里渓は荖濃渓の大支流である濁口渓の源流、濁口渓は最後は大津にて出遭い高屏渓に統合される。ここの渡河地点は小川程度だ。繰り返しになるが「蕃里」も「馬里」も「バリサン」の漢音訳だ。中央写真はその馬里渓を渡り切りバリサン駐在所まで最後の登りに掛かろうとする場所、同写真の手前に河原の石が写る。その坂を登り切り先ず目に飛び込んで来たのが、原住民が張ったと思われるテント、狩猟ベースキャンプと推測されるが彼等にとり招魂の地だ。但し、末裔の居住地を特定出来ておらず。次回は広大なバリサン駐在所遺構の概要紹介を試みる。(続く)

(追加コメント)ネットを渉猟していると『踏査「馬里山舊址」 桃源國中帶學生尋根』と云う今年1月22日付けのニュースに当たった。筆者の入山より僅かに一箇月前だ。高雄市桃源区文物館員に引率された桃源国民中学生に依り実施されたニ日間の踏査行なのだが、筆者が目撃したテントはこの時のベースキャンプ設営に使われた模様だ。彼等の目指したものはバリサン旧社、筆者の目標は駐在所遺構と云う違いがあるので、バリサン社の末裔の話も含めて別の稿を起こそうと思う。
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2022年09月17日

内本鹿越嶺古道西段−5:バリサン段(5)

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【写真説明】バリサン駐在所遺構の筆者に依るスケッチを元に紹介するのが手っ取り早いのでそうさせて欲しい。出雲山林道は駐在所遺構の真ん中を正門から入り裏門に抜けていくような錯覚を覚える。林道は単純に遺構中央を北から南へと貫いていると云う意味だ。実際何処が正門なのか?は皆目見当が付かなかった。規模が大きかっただけに神社も建立されていたことは十分に想像が付き、その神社跡地と思しき残骸もあり、そこら辺りから正門の在処を予測出来たのかもしれない。上段左写真は、出雲山林道がバリサン駐在所遺構に入り込んだ時点で林道中央に設えてあった炉、前回のコメント通り、今年1月の尋根(魂)踏査の際に使われたものだと思われる。林道最南側から左側(東側)に延びる石塁が見事な部分のパノラマ写真を埋め込んだので御閲覧頂きたい。上段左写真と相向き合う形になる。恐らく石塁遺構としてはこの左側石塁が最高級のものだ。その石塁のクローズアップが上段中央・右写真、筆者の現場スケッチのハッチング右側と左側に相当する。下段写真は筆者現場スケッチの補完、左写真は駐在所敷地東側と思われる方面の遺構だ。ブヌン族石板意匠(無論意味判らず、尋根踏査の際置かれたものか?)と見事な石塁。中央写真はその見事な石塁を抱合する敷地東側に設営された正門かもしれない遺構、その右側は神社遺構ではないかと推論、四角形の台状を為しているからだ。右写真は水槽遺構?(続く)
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2022年09月24日

内本鹿越嶺古道西段−6:バリサン段(6)

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【写真説明】桃源中学生に依る旧バリサン社尋根踏査ビデオの内容は判りにくい。判りにくいと云う意味は、バリサン社の末裔の人々は何処に移遷しそこは今現在何と呼ばれているかということだ。林一宏リストのバリサン駐在所の「現在地名」の項には「無」と素っ気なく書かれている。でも今になりバリサン旧社に対し尋根の旅を続ける人々がいるのだ。そもそも桃源国民中学の現在行政区画は高雄市桃源区桃源里、当時の日本橋より更に北になる。他方、この尋根踏査を引率したのは宝山部落の長老、現在の行政区画では同市同区宝山里、藤枝林道途中にある集落、内本鹿警備道西段、嘗ての中心崙(チュウシンロン)社である。桃源中学と中心崙社の距離は相当あり、これら二つを繋ぐ契機をイメージ出来ない。今回踏査した出雲山林道沿いにブヌン族の旧社遺構、或いは住居遺構は二箇所、一つはバリサン駐在所遺構南側300b、もう一つは同駐在所遺構北側900b(林道1,600b付近)である。筆者のスケッチ、各々右側下と右側上に相当する。桃源国中踏査行の尋根の地と駐在所遺構南300bの住居遺構が同一かどうか?確認する術はないのだが、桃源国中動画に写る住居遺構は集落遺構の趣があり、筆者のイメージに残るスケールに大きな差がある。掲載写真左は林道東側の住居遺構、中央写真は林道西側。右写真はもう一つのブヌン族住居遺構と想定されるもの。(続く)
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2022年10月01日

内本鹿越嶺古道西段−7:バリサン段(7)

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【写真説明】内本鹿警備道のバリサン段支線の最後は陸地測量部に経緯を表し、バリサン山陸測三等三角点で締め括る。点名不詳。出雲山林道起点を登山口とすると、目指す頂上は標高マイナス450b、最後の頂上への林道のアクセス口(左写真右側)は、バリサン駐在所跡から約850b。(終り)
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2022年10月08日

内本鹿越嶺古道西段−8:藤枝林道段(1):「中心崙社」

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【写真説明】国立台湾大学の研究に依ると、現在の藤枝林道(荖濃渓林道とも、どちらが正式呼称か筆者は未だに定かならず)に内本鹿警備道の最西端として配置された駐在所は、藤枝から順に、「森濤」、「宝山」(原文は旧体字)、「土龍湾」(台湾側表記では通常「龍」は土篇)となっている。以上を筆者の手元の市販地図+筆者知見と合わせると、以下の通りで、先の投稿記事の通り、藤枝森林遊楽区入口に並立する派出所は森濤なので、台湾大学の「松濤」の取り扱いが判らない。以下表記の順番は次の通り。(「台湾大学表記」)、(市販地図帳表記)、(現代通称)、(藤枝林道`数)、(現代行政区画):

・「藤枝」、森濤、藤枝、19.5`、高雄市桃源区宝山里
・「森濤」、ニ集団/松濤、ニ集団、15`、同上
・「宝山」、中心崙(チュウシンロン)、宝山、11.5`、同上
・「土[土|龍]湾」、興龍、興龍、0`、高雄市六亀区中興里

又、『三十萬分一台湾全圖』第5版と現代地図帳の藤枝林道を重ね合わせて看ると、両者の接点は藤枝以降は「チュウシンロン社」だけであり、これも台湾大学の森濤存在、出所を疑う理由である。左写真は、宝山派出所、林一宏リストに依れば中心崙駐在所の後継と推測されるもの。どう写真に写る道路は藤枝林道。中央写真は宝山社区発展協会(右)と衛生室、日本時代からの遺留家屋の趣あり。右写真は前両写真と同じ場所から二集団方面を望む。大きく写る山は頭剪山。同写真左側の建物は、旧宝山小学校、今は台湾大学の森濤、即ち通称二集団の方へ移動している。(続く)
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2022年10月15日

内本鹿越嶺古道西段−9:藤枝林道段(2):「土[土|龍]湾]

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【写真説明】嘗て表題の地名で呼ばれていた現在の行政区画は、高雄市六亀区中興里興龍社区である。位置を最も簡便に言い表すには、「六亀市街地の荖濃渓に掛かる六亀大橋を隔てた対岸」、或いは「六亀大橋の向こう岸」で十分適当だと思う(埋込ダイヤグラム参照)。過去二十数年、何回この地を通過したことか。「興龍」への改名のパターンは二文字化(オリジナル地名三文字を「龍」で代表させた)と雅語(この場合は「興」)の組み合わせである。安倍の『臺灣地名研究』には残念ながらこの地名は採録されていない。日本時代の地形図を確認すると、龍の文字は、「つち・へん」、「つち・あし」、「さん・ずい」、龍ママの四つのバリエーションがあることが判るが、主流は土扁だと思う。この灯台下暗しの典型的なストーリーである土[土|龍]湾という地名が筆者の気を大いに引いたのは、これまで投稿して来た今年の六亀警備道踏査の延長である内本鹿警備道西段起点としてである。しかしそれは事の始めであって全てではない。本稿は本来『水の古道』とカテゴライズさせるかどうか少々悩んだ。
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