2023年10月21日

美濃古道−15:旗山渓−1:「原旗山上水道」

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【写真説明】左写真は孔子廟駐車場(最下段)近く(と記憶する)で出食わした壽山古道−9:「哨船頭古道」−7:「打狗水道」中央写真と同じ浄水池上部構造物。所謂国家文化資産指定を受けた「原旗山上水道」核心部は、この写真の構造物より北側に有り、前述投稿記事右写真と同じ量水器室なのだが、筆者はどうも旗山のそれを少なくとも垣間見た印象はあるが、写真も無く、従って行き着いていない模様だ。旗山市街地内の関連遺構マップはこのダイヤグラム1を参照、又、楠梓仙渓+旗尾山まで含めたダイヤグラム2も参照の事。中央写真は旗山神社跡地南側に隣接する通称旗山太平寺の日本時代遺構の中の一つ、太平橋。同写真手前に写る水路(旗山渓、或いはその支流、ダイヤグラム1上で青線で明示されている)を流れる水の質に注目。いずれにせよ原旗山上水道は旗山渓を水源としていたはずだ。又、同写真後方の階段と石塁の出来栄えにも注目。右写真は太平寺構内に無造作に置かれた日本時代に使われたと思われる神社、或いは寺院の残骸、太平寺はまだ現役であることを考えると、旗山神社遺物かもしれない。旧上水道設備を追い掛けていたと察せられる水路、側溝の類の写真が手元に残っているが、何処で何故そんな写真を撮ったかはすっかり失念したのでここでの掲載は差し控える。

玉山・阿里山山脈最南部たる美濃・旗山地区の山の話を切り上げた後は、同地区の水、即ち水路の紹介をする積りでいた。この計画は今でも変わっていない。但し、読者の方々の中には既に気付いていらっしゃる方が多いと思うが、なかなか山の次のエピソードが出てこないのだ。何故こんなにも長い事逡巡しているのか?一つは、筆者の書籍初刊行に身と心を占領されていたからだ。つまり古道、百岳二つのブログ紙上で早いタイミングで新刊を紹介しなければと焦っていたのだ。で、そちらの方は何とか片を付けたので、ブログも前へ動かす準備は出来たはずなのに筆は全く滑ってくれぬと小説家みたいな言い訳になる。実は今回紹介する旗山の上水道施設の写真−嘗て自身で相当数写真に納めたはずの旗山市街地の日本時代遺産群−を探していたのだ。撮影したのは動かしがたい事実という思いから逃れられない。。。というわけでを無駄とは知りながらメモリーカードとHDDの捜査に没頭していた。最終的には諦め、今回の投稿を書き始めた。

旗山に関し二枚のダイヤグラムを起こした。旗山市街地で最も日本時代の遺産が林立している区域を切り取った。具体的には、鼓山公園の全域+同公園東端沿い市街区域となる。ダイヤグラム1は旗山市街地フォーカス版、但し西側の担横山まで入れ込み古称鼓山に対し敬意を表した。ダイヤグラム2は拡張版で楠梓仙渓と旗尾山まで入れ込み旗山市街地の地理的な位置を確認するのが目的である。

筆者自身は未だ旧旗山上水道遺構まで確認出来ていないので、現場に立つ案内板をグーグルマップから探し出しここに訳出することに依り今回の投稿を閉じたい。案内板は相当古い。旗山がまだ高雄県政府下時代のものだ。()内は案内板制作機関、[]内は筆者に依る註である。

「水源地」又は「水源頭」と現地では通称されている「原旗山上水道」[原は元或いは旧の意味]は大正14年(1925年)に完工した。当時、全台湾の中で主要な中規模クラスの水源の一つであり、高雄県内に限れば最も早く建設された現代的上水道施設であった。光復後[1945年]旗山市街区域の人口は日に日に増加、水源である旗山渓も長らく修理されておらず対応水量は徹底的に不足、元々の上水道施設は使用に耐えなくなり、民国43年(1954年)地方政府は旗山川岸堤防付近に新しい上水道施設を設置、同時に事務所並びにポンプ施設も併設した。民国64年(1975年)、旧水道の濾過関連設備を旗山鎮役場主導にて児童用プールに改編、民国90年(2001年)には高雄県政府社会局が浄水池等の建築物を閉鎖、社会福利総合館[現在の「旗山生活文化園区」と推察]の建設を計画、その後文化局と地元民との間で旧上水道施設を文化遺産として登録されるよう努力した。

当該指定古蹟に含まれるものは;表彰記念碑、引水道、阻水閘門及び階段、濾過・浄水池関連建築物である。水道関連施設はその建築物並びに空間が頗る特殊性を有するのみならず、日本時代に於ける旗山住民の生活の現代化の生き証人であり、且つ旗山の経済発展に欠くことの出来ない貢献を成したものであり、以上を勘案し高雄県政府は民国93年(2004年)に原旗山上水道施設を歴史建築に指定した次第である。」
(続く)

posted by 玉山 at 00:00| 台北 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 美濃古道 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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