2023年08月19日

美濃古道−12:月霊旗縦走(9)−擔横山(鼓山)

【写真説明】このダイヤグラムは旗尾山(きび・さん)を含む玉山山脈最南部、美濃(みの)と旗山(きざん)を分け隔てる楠梓仙渓(なんしせん・けい)、そして旗山市街地とその後方に迫る阿里山山脈の最南部の関係を表したものだ。二つの山脈が楠梓仙渓の両側で競い合っているような感がある。楠梓仙渓の現在の正式呼称は旗山渓(きざん・けい)、最後は、荖濃渓(ろうのう・けい)と合流、台湾にて最大の流域面積を誇る高屏渓(こうへい・けい)を形成し台湾海峡に注ぐ。このパノラマ写真に写る阿里山山脈中央部は若干隆起を見せているが、標高215bの擔(担)横山(たんおう・さん)、古名が「鼓山(こさん)」である。鼓山と云う山名は、佐藤さん、鈴木さんと同じくらいポピュラーかもしれないが、逆に由緒正しき山ではないだろうか?台湾のみならず、中国大陸、日本にもある。鼓は楽器以外にどう云う意味があるのか?未だ調査中。台湾南部だと、同じ鼓山の表記で高雄市の区名として存在することは、既にこのブログの中でも相当回数言及して来た。旗山の鼓山も高雄の鼓山と同じように現代の行政区画名としてまだ現役だ。里名(鼓山里)と公園名(鼓山公園)として残っており、行政単位としては、旗山の行政単位である区よりは下位になる。担横山の山名の由来もまだ調査中。西側、さして目立たぬ阿里山山脈最南部の山の中から更に目立たぬ担横山が、誰の目にも一際目立つ旗尾山の対抗馬として選ばれたのには何らかの由来があったのではないか?例えば、山と川と全体の地勢、詰まり風水である。そこら辺りを再確認しようと「美濃古道−7:月霊旗縦走(4)−旗尾山(4)」の寄稿の際に見付けたサイトを閲覧しようとしたが、何故かアクセス出来ない。それで、ここに当時のブログ記事から再録して読者の便宜を図ることにした:

【再録開始】
台湾ネット上に「旗尾山祠」に関する専門的な投稿がないかどうか?丁寧に渉猟してみると一つだけ見付けた。パーソナルなブログで、投稿名もそのまま「旗尾山祠」だ。このブログで披歴されている歴史的な背景は以下の通りで、これらの殆どを筆者も知らなかった:

1)月霊旗縦走路稜線上のどのピークを旗尾山と呼んで差し支えない。市販地図帳でもこの稜線上の標記を子細に眺めてみると、旗尾山の標記が二箇所あることに気付く:ここまで縷々と述べて来た台湾小百岳の一座である旗尾山(標高315b)と、霊山(同364b、通常は霊山が括弧表記)なのだが、詰まり旗尾山一段、或いは旗尾山山脈とでも呼べるかもしれないと云う意味だろう。従って、台湾小百岳の一座を旗尾山と呼ばずに旗尾山祠と呼ぶ几帳面なハイカーが居る。

2)「旗山」は地名学的には旗尾山が出所。筆者はこれまで旗山の由来に関心を払わず。

3)その旗山市街地の西側に標高215bの擔横山と呼ばれる一座があるが登山対象としては人気が無い。古名は「鼓山」。高雄の柴山―今は次第に日本時代の呼称、寿山に換わられつつあるが―も嘗てはそう呼ばれていたはずだ。現在の旗山一帯の旧称は蕃薯寮、現在の孔子廟を擁する旗山公園は蕃薯寮の共同墓地で鼓山塚(俗称)と呼ばれていた。。。詰まり同地名はザックリと以下のように変遷して来たと云うことだろう:鼓山塚(蕃薯寮)→鼓山公園(日本時代、旗山神社含む)→中山公園(含む孔子廟)→旗山公園(旗山神社一部復元)
【再録終了】

ところで、今現在旗山のシンボルである3)で上述されている公園の正式名称は何であろうか?筆者の手持ちの市販地図帳では「旗山中山公園」、グーグルマップでは「鼓山公園」の記載だ。怠け心に鞭を打ち旗山区役所公式サイトを閲覧すると、「旅遊景点」の項のトップで説明してある当該公園の由来(原文中文)は以下の通り(筆者拙訳)だ。これ以上の詮索は止めることにした:

「旗山の市街地の西側、川(楠梓仙渓)を挟んで旗尾山の向かい側に位置し、山の形が大きな太鼓のような形をしており、更にその頂上が太鼓のように平らであることから、「鼓山」と名付けられた。公園は丘の中腹の地形に合わせて造られ、地名のまま「鼓山公園」と名付けられた。

特に、旗山は日本時代の様々な遺産が多く存在し、筆者のブログ上でそれらをどう紹介していくか?はまだ思案中だ。最初は、旗尾山・月光山の紹介を終えたら「水の古道」関連遺産のみに集中させようと考えていたが、まだ決定出来ずにいる。当面、次回は担横山に関し補足的なコメントを添えて終了させ、最終的に旗尾・月光山行脚を終える予定だ。(続く)

posted by 玉山 at 00:00| 台北 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 美濃古道 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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