【写真説明】前回、前々回は旗尾山第一登山口と第二登山口から入山した際遭遇する植相と岩盤を紹介した。旗尾山第三回目の投稿は第三登山口からの極めて特異な登山道と登山である。その特異さ とは。。。。。900余段の階段は登山口からいきなり設えられているわけではない。先ずは緩い登りの産業道路を15〜20分程歩く必要がある。そこから階段が始まり健脚なハイカーは15分内外で登り切ってしまう。詰まり片道半時間の登山ということだ。この階段登りを日課としておられる方が居るそうだ。筆者の場合、登りの苦しさを心理的に軽減する為に、100段毎に声を出している。この子羊生活遊戯方式は効果がある。上段左写真は第一・ニ登山口から登って来たハイカーが第三登山口からのハイカーと出会う三叉路で、850段辺りの踊り場だ。同写真左奥に見える岩場は前回「旗尾山(2)」に掲載した右写真の岩場と同一だ。中央写真は旗尾山頂上の鉄筋二階建ての大東屋への入口、右写真は旗尾山山頂への最後の一段状にペイントされた段数。下段左写真は、三等三角点、筆者は長い間地籍三角点、詰まり日本に依る台湾領有初期臨時土地調査局が埋定したものと思い込んでいたが、台湾ネット上では戦後、水資会、或いは水資局なる国民政府機関に依り埋定されたということになっている。今現在だと台湾自來水公司の一機関だと予想されるが筆者自身は特定出来ず、又、明確に過去の当該機関の成立・背景を記したものに出会えていない。従って「水資局高屏64号三等三角点」のような情報提供には不足はないが、残念ながら出所が全く示されていない。
中央・右写真は筆者にとり第三登山口からの登山道が特異なもう一つの由縁であることを物語る。登山道沿線に数箇所、光蠟樹―但し、蠟は月扁、別称「台湾白蠟樹」―が植え込まれている。それに気付いたのはカブトムシやカナブン類が集まっていたからだ。筆者の知見だと、これらの昆虫が夏場集中するのはクヌギ(櫟・椚・橡・椚木)というのが相場で、それ以外の樹木を考えてみることさえ思い付きもしなかったので、兎に角クヌギ以外の樹木に大振りのカブトムシが群がっている光景は何かしら別世界だった。第三登山道沿線の街路樹には解説板が提供されているものがあり、台湾白蠟樹もその中の一つだ。和名はシマトネリコ(トネリコは梣、秦皮)、タイワンシオジ(塩地)、タイワントネリコ等々。。。ここらで止めておいた方が良さそうだ。
当該高木(台湾では灌木)は産業道路部分に数本、階段部分、700余段辺りに二本あるが、筆者のノスタルジーを掻き立てる夏休み定番甲虫劇場はズームに頼らざるを得ない頭の上でどれもこれもブレて困ったものだ。ここに掲載した二枚は700余段辺りのどちらか一方、中央写真は細身のスズメバチの一種が良く撮れていたので掲載した。三匹の世間話が聞こえてきそうだ。左上のカナブン類は、或いはツノハナムグリに見えるのだが自信が無いので別なシーンを探していたら右写真が出ていた。日本の甲虫愛好家に人気のワリックツノハナムグリが写り込んでおり、ここでもカブトムシをアンカーに静かなお喋りが進行中だ。この甲虫、クワガタムシに似た大きな上顎を持つのが特徴。蛇足だが、中央写真右上のカナブン類はワリックツノハナムグリのメスということになりそうだ。(続く)
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