【写真説明】先ずは月霊旗縦走路西端の旗尾山第一登山口の風景写真を掲載することにしていたのだが、幾ら探しても見付からない。その登山口からいきなりハイカーを興奮させてくれる登山道風景と情況が連続する。二つのピークと各々の三角点に出遭えるのは申し分無し。その先で第二登山口からの登山道が出遭う部分の森の様相は格別だ。左写真は、第二登山口から登り始め、第一登山口からの主脈登山道との出遭い直下で撮影。同写真に写る大木は、(筆者の記憶が正しければ)マンゴーの栽培木である。中央写真は上記の三叉路の風景、主脈登山道が三叉路を過ぎた辺りでの撮影。三枚とも2019年10月6日撮影。
いきなり台湾南部の一ローカルな古道を、読者の前に放り出した感のある紹介でスタートした新カテゴリーの投稿だったので、もう少し丁寧に今や台湾南部の低山ハイキングのホットスポットと化した、西側旗尾山、東側月光山とを結ぶ縦走路を紹介しておきたい。既に掲載済みのこれら二つのダイヤグラムに簡便な注釈を加えることと同義となる。あくまで古道ブログ中での登山路紹介になるので、丁寧な説明を心掛ける積りだが、百岳ブログ様な紹介とは一線を画す所存だ。本音は−過去何回か告白したことがあるが−百岳以外の山岳、山域を一座でも多く紹介したいからだ。全ルートを四段に分けて西側旗尾山から紹介をスタートさせるのは、この山域に興味を持った平均的なハイカーの行動パターンであり、筆者自身も例外ではない。
先ずは思い付くままに、この山域の山行記録を台湾サイト内で共有する際のローカル・ルールみたいな(実際は無ローカル・ルールなのだが)約束事(実際約束事は存在しない)を列記してみたい:
1) これまでこのブログ中では月霊旗(或いは月旗)縦走と云うルート名を使用して来たが、これはそう呼ぶハイカーが東側を起点としているからだ。「旗霊月」(或いは「旗月」)と逆に西側起点の命名でも構わない。最初か三ピーク征服に自信の無い向きは、「旗霊」(又は「霊旗」)縦走でも構わない。
2) 自身の体力を誇る手段として、如何に長い距離を踏破したか、如何に長い時間アップダウンの激しい稜線と格闘したか?をサイト上で披歴する方法があるが、距離、時間のカウント方法にルールは存在しない。カウントの起点・終点の暗黙の了解は、西端は旗尾山第一登山口、東端は東光寮福徳祠(共同墓地)とされる。西端の方は起点(或いは終点)として迷うことはないが、東端の方は多少悩ましい。その墓地は登山道としては最下段になるが、そこに至る前に先ず林務局敷設の国家歩道「月光山歩道」のゼロ里程標、次にハイカー用駐車場を通過しなければならないからだ。
3) 大概のハイカーはマイカーを好みの地点に駐車し、何らかの手段でこの駐車地点に戻って来るのが一般的な縦走方法である。但し、或る縦走路上の目標地点迄の単純な往復は、目標地点が登山開始地点から遠くなればなる程歩行距離が長くなるので、生理的な疲労は高くなる。そこで、一つの方法としては、予め目標地点に白タクをチャーターしておくことである。或いは、このチャーターのバリエーションとして、駐車地点で白タクをチャーターし最初に目標地点迄運んで貰う方法もある。前者と後者の違いは、後者は顧客であるハイカーとサービス提供者たる運転手の間で待つ、待たされるのフラストレーションが排除出来ることだ。筆者がこの山域に通うようになった頃はこの新手の運送業は目立つことは無かったが、近年、タクシーの運転手の中にも商機として捉えている向きもあるようだ。
4) 具体的には、旗尾山−霊山間の縦走、旗霊縦走(又は霊旗縦走)を企図した場合、先ず駐車地点して旗山糖廠(正式には、台湾糖業股份有限公司旗山糖廠、前身のオリジナルは日本時代の高砂製糖株式会社旗尾製糖所)、或いは旗尾山第一登山口付近を選択し霊山迄至り折り返して来るのが伝統的なアプローチだ。代わりに、予め霊山側にタクシーなり白タクをチャーターしておき、霊山迄到達した後は、その白タクで駐車地点迄戻る方法が二つ目、三つ目は自身の車の駐車地点は変わらないが、そこから先ず白タクに目標点である霊山迄運んで貰いそこから歩き始め駐車地点に戻ってくる方法だ。この方法だと山行時間に何の制約が付くことも無い。このような伝統の登山コースを一部車に頼り踏破するのを潔しとしないハイカーは無論存在する。月霊旗縦走を旗尾山側からスタート、大縦走路を踏破した後、アスファルト道路をひたすら歩き、都会の雑踏の中を駐車地点迄戻った山行記録を目の当たりにし只々敬服した。
5) 本稿は主旨から外れるのだが、参考情報として。。。嘗ては、月霊旗縦走路は冬場だけのものだった。夏は暑過ぎて稜線のアップダウンの激しさを同時にハンドルするのは難しい。元々台湾の低・中級山登山は冬場のもの。それで、冬場の縦走の為に、有志の方々が登山道を整備するのが通例だった。武漢肺炎はこの伝統的なアプローチを完全にひっくり返すことに大いに寄与したと思う。今は四季を通じ大パノラマの提供が約束されるハイキングを楽しみ、又は稜線にしがみ付き記録更新に勤しむことがメインストリームとなりつつある。
以上、筆者が言いたかったことは、各ハイカーのポリシーとスタイルで玉山山脈最南端の縦走を楽しめば良いと云うことだ。
総じて、玉山山脈の最南端にして東側美濃と西側旗山を区分する月霊旗縦走路の台湾人ハイカー間の暗黙の了解は;
-東端ピーク=月光山(標高650b)、西端ピーク=旗尾山(同315b)
-東端登山口=東光寮福徳祠、西端登山口=旗尾山第一登山口
-縦走路総延長=約16.7`(東西端ピーク間縦走路総延長=約11.1`)
-縦走路最大高低差630b
-参考縦走時間=10〜11時間程度
筆者の月霊旗縦走履歴は以下の通りで、月霊縦走と霊旗縦走各々一回しかなく、残りは圧倒的に旗尾山の三箇所の登山口、中でも第三登山口から旗尾山頂上へ至る941段の階段を利用し文字通り汗をかき体力を維持することを目的としながら、同時に月山、霊山に単独で登ることも繰り返して来た:
A) 旗尾山第一登山口〜旗尾山=2004年4月11日
B) 月光山〜霊山(月霊縦走)=2016年12月17日
C) 霊山〜旗尾山(霊旗縦走)=2021年02月21日
繰り返しになるが、あくまで古道ブログであることを考慮し、上記A〜Cの区分に従い各区間二回の投稿で紹介を完結させる予定だ。但し、紹介の順序は、A→C→Bとさせて頂きたい。(続く)
【関連する記事】
- 美濃古道−16:「原旗山上水道」−2
- 美濃古道−15:旗山渓−1:「原旗山上水道」
- 美濃古道−14(旗山三祠:旗山神社、旗尾神社、旗尾山祠)
- 美濃古道−13:擔横山(鼓山)(2)
- 美濃古道−12:月霊旗縦走(9)−擔横山(鼓山)
- 美濃古道−11:月霊旗縦走(8)−月光山(2)
- 美濃古道−10:月霊旗縦走(7)−月光山(1)
- 美濃古道−9:旗霊縦走(2)
- 美濃古道−8:月霊旗縦走(5)−旗霊縦走
- 美濃古道−7:月霊旗縦走(4)−旗尾山(4)
- 美濃古道−6:月霊旗縦走(3)−旗尾山(3)
- 美濃古道−5:月霊旗縦走(2)−旗尾山(2)
- 美濃古道−3:美濃古道(3)
- 美濃古道−2:美濃古道(2)
- 美濃古道−1:美濃古道(1)
- 美濃古道−0:概観