【写真説明】例えば、ウィキペディア中文版の「六龜警備線(六龜警備道)」項の解説では、二箇所の護管所(遺構)を警備線沿線の駐在所遺構の中に含めている、或いはそのような意図が見える。筆者には日本時代の警察機関としての駐在所と、これら戦後の林業行政統括機関とがどのような関係にあるのか?未だ明確ではない。が、林務局公式サイトを閲覧してみると、護管所という林務局機関は最早存在しないようだ。その意味では今回の投稿に掲載した写真を見ていただければ感得いただけるように、日本時代の駐在所と同じように護管所も「古蹟化」しつつあるということだ。林務局サイトのホームページを「山林資源」→「森林保護及管理」→「森林保護」→「森林護管」という順で追い掛けて行くと、最後は以下のような説明に当たる(筆者拙訳):「本局は管轄する全台湾の国有林を8箇所の林区管理処(管理事務所)とそれらの統括下に35箇所の工作站(事業所)に分割し、国有林巡視並びに管理業務を実施している。同時に千人以上の森林護管員(巡山員)を配置し森林巡護の責任体制を敷いている」。要は、林務局の「護管」とは「森林巡護」のことであろう。尚、台湾の森林護管員は、日本の「自然保護官(レンジャー)」と同等のものかどうか?筆者は知見無し。いずれにしても、現在の六亀特別警備道が属するのは屏東林区管理処、その公式サイトの沿革の部分には、現在の機関の前身として明確に「高雄州産業部林務課出張所」との記載があるも、警察機関との関係に触れた部分は無し。上段左・中央写真は残存状態の最も良い棟、右写真はその棟の東側にある崩壊した別棟、下段左写真は日本時代との関係を示唆しているような古石塁、中央写真は沼津分遣所跡地に近付くにつれ立ち現れる宝来渓対岸の急斜面、第13宿「原」分遣所以降が設営された方面になる。右写真に写る最高山塊は渓南山、同写真中央手前の丸い稜線を呈するのは小田原山、渓南山右側の三角錐を呈するのは渓南山前峰、その頂上南側が第17宿「興津」分遣所跡地とされている。原宿から、藤枝国家森林遊楽区内の府中宿までの警備道概念図を埋め込んでおいた。「小田原」、「七坑温泉」、「渓南山」、「渓南前峰」等が警備道開鑿位置をイメージするのに便利だ。兎にも角にも、ため息が出る程に圧倒される高度と距離だ。(続く)
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