【写真説明】大坑山歩道の方が圧倒的に人口に膾炙しているので、大坑山をその歩道が整備されている山間部と誤解している向きは多いようだ。三角点を擁する大坑山については、これまでの嘉義県の古道を紹介する中で、既に数葉の写真を掲載して来た。良く目立つと云うのもあるが、すくっと立ち上がった三角錐の山容は筆者の好みである。そこで是非登ってみたいと云う思いは強かった。ところが、ネット上での山行記録が非常に少ない。しかもその内容から察するに、登山口迄の道路状況が劣悪でハイカーに敬遠されているのだと考えた。要は四輪駆動車が無ければ嘗ての登山口迄のアクセスは危険極まりないと云う意味である。そこで、阿里山一帯の道路事情に精通しているG博士の弟に筆者の社有車(カローラ)を運転して貰い、とにかくアスファルトかセメントで舗装されている限りは入り込んでみることにした。大坑山歩道方面、大坑山東側からのアクセスに挑戦した。結果は散々だった。最後は最近地場の農民の作業車さえ入り込んだことが無いのが明白な、車道両側から茅が多い被さり路面が見えない状態の中をそのまま運転、そこを潜り抜けると物置らしき一軒の家屋があるちょっとした広場状の場所に出た。そこで急に視界が開けた。山頂直下である。更にコンクリートの幅の広い登りの車道が付いている。頂上だ。頂上にはコンクリート製の「逍遥亭」と額した大振りの東屋が立つ(左写真)。山頂付近に東屋が立つのはネット上で探し出した登山記録に付された写真で見てはいたが、山頂に立っているとは思わなかった。草茫々の中に寂しく佇んでいるものとばかり予想していた。竹崎市街地の足下の眺望、その先の獨立山を含む阿里山方面の山塊。。。大坑山の位置からして、息を呑むような大パノラマも当然と云ったような風情だ。地籍三等三角点は逍遥亭の東側にある(中央写真)。筆者の車より大型の乗用車で乗り付け逍遥亭で喫茶を楽しむ一団と出会う。明らかに山登りとは無縁の出で立ちだ。筆者が辿って来た同じ産業道路を潜り抜けて来たとは思えない。詰り、山頂迄至る別の車道があるということだ。筆者の車体に無数の引っ掻き傷を作りながら抜けて来た道路は、物置小屋脇の小広場からそのまま広く快適な車道に替わり西側に下って往くのだが、暫く下るとピカピカのお寺が現れた。佛寶寺である(右写真)。ここから大坑山頂上へ至る登山用階段が付いているのを確認した。漸く合点が行ったのは、何故大坑山の山行記録が極端に少ないかということだ。普通車で山頂迄辿れる山に対しわざわざ山行記録をネット上で公開する意味は無いのだ。それでも筆者にしてみれば普通車も運転手の技術と勇気の持ちようでは四輪駆動と引けをとらないぐらいに悪路を走行可能と云う痛快な発見だった。(終り)
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