【写真説明】梅山市街地から東側阿里山方面へ至る車道の一つに嘉義県県道162甲線がある。この道路もそうだが、阿里山山脈の山襞にへばり付く特定の集落とそれらを繋ぐ自動車道を地理的に説明するのは難しい。162甲線は要は梅山市街地と途中半天村を通過し、阿里山山脈中でも著名な風景区に指定されている太平村市街地とを結んでおり、この間県道の延長は約12`、落差が千b程ある。現代の自動車道はカーブを繰り返しながら高度を稼ぐのであるが、「太平三十六弯」(上段左写真)と呼ばれ、カーブ毎に1〜36番迄の茶色の標識が立てられている。半天古道とはこの大規模な九十九折(つづらおり)を突き抜けていくわけだが、別名「汗路古道」と謂われるぐらいに急坂で、半天とは梅山市街地から嘗て半日掛けて辿り着くマイルストーンの地という意味だと思われ、幾つか半天の名を冠した集落が点在する。代表的な地名は半天寮である。今現在は第3弯を最下段起点として第28弯(上段右写真)迄を半天古道、それ以降36弯を経て太平村市街地迄至る歩道を太平古道と称している。半天古道部の総延長は2`ということだ(上段中央写真)だが、とにかく基本は真っ直ぐに上へ上へと階段を登るだけなので、筆者は第17弯に設けられた展望台迄足を延ばしそのまま引き返して来た。車を一番下に停め一番上迄詰めた後引き返して来る勇気は出なかった。下段左写真のように人工スレートへの置き換えが進んでいる(右脇の石組は土地公)ので古撲な雰囲気は消失している。唯一の例外は、古道途中の半天寮村(下段中央写真、同村を代表する鎮天宮)で土地の人に紹介された造紙寮(製紙工房、下段右写真)跡で、その遺構の中に「昭和」の文字を見付けたことだった。(続く)
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