2021年08月07日
蘭嶼−22:南岬角(青青草原)
【写真説明】先ずは青青草原から太平洋を眺望した三枚の写真を並べた。三回目の蘭嶼上陸に際し初めて目にした風景だった。青青草原(本ブログ左側メニュー「俯瞰図」の[1]及び[2]を参照)は蘭嶼への初回上陸の際には立ち寄った記憶があるが、ヤミ族青年漁師の立像(「蘭嶼−4」)を撮影しただけでそくさくと立ち去ったのみだと思う。しかも環島公路から僅かに入り込んだだけで、隆起したサンゴ礁上に載っかった草原が太平洋に突き出た海岸縁迄の歩行を大いに牽制したようだ。陽が昇ってしまえばその熱帯の陽射しを遮るものが何も無いので焼き殺されるような塩梅になるのが理由である。二回目上陸の際はそういうわけで青青草原へは脚を向けなかった。三回目はこの草原に入り込みそこに付けられた遊歩道を歩く十分な理由があった。一体この草原の中のどのような場所に三角点が埋定されているのか?という興味はそうそう簡単には失せない。草原の中に小山があるわけではない。但し、傾斜が付いており海岸側が少し高い。
歩き始め遊歩道が海岸に突き当たった処で絶句した。台湾に住んでいれば海は何処でも何時でも臨める。殊に東海岸、詰り太平洋側に面した海岸線は美しい。それでもこれまで目の当たりにした中で飛び切りの眺望だと思った。足元は海面から五十bを越えるサンゴ礁の断崖、太平洋の静かな波に彫刻された作品が豪快に並ぶ。その先の洋上には小蘭嶼の点景が絶妙に配されている。。。筆者の今の筆力ではここら辺りが限界だ。
初回、二回目の蘭嶼上陸の際は気付かなかったのだが、青青草原に集まる観光客は太平洋の水平線に沈む夕陽が目当てだ。従って真昼間に草原を散策する物好きは非常に少ないことも筆者を喜ばせた。蘭嶼の最南端は青青草原を擁する南岬角とその東側の望南角から形成されている。後者は大森山稜線が標高を落とした先にある。両者の中間に龍門港が設置されているが、手元の地図帳には括弧付きで「台電廃料運送港」と注記してある。「蘭嶼−2」で紹介した核廃棄物が陸揚げされる専用港だ。
下掲は南岬角の地籍三角点埋定地点の風景、台湾全土の三角点埋定地点の中で最も美麗な地に相違ない。左写真は三角点埋定地点(岩が転がった先の右側)越しに八代(恐らくヤユウの音)湾沖を望む。中央写真は三角点北側、右写真は三角点南側の眺望である。前者に写る集落は紅頭村(イマウルッル)の行政中心、筆者の宿泊地である。尚、青青草原の具体的な面積に関しては未だに探し出せずにいる。但し形成過程、詰りこの草原の前身は何だったのかについては直ぐに見いだせた。ヤミ族の耕作地だったのだが、ご多聞に漏れず、若者は島を後にしてしまうので後継者がおらず自ずと放置されたままになったのだそうだ。(続く)
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