2020年12月05日

壽山古道−4:「哨船頭古道」−2:「壽山館」

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【写真説明】左写真は、「壽山館」跡地に立つ中山大学職員宿舎B棟西端から裏側に抜ける自動車道、筆者の背中左手から宿舎裏の山域に入り込んだ。そこは小さな空き地になっており、国軍管制区域警告板が立っている。中央写真左奥にサンゴ石の石塁が覗いている。この写真を撮影した際は意識していなかったが、右写真に写るコンクリートの階段を支えている。即座に、壽山館後方に開削された登山道、前回投稿で紹介した「展望道」の一部、裕仁親王も歩かれた古道だと判断した。

前回投稿時転載した歴史場域案内板解説文中にある、裕仁親王が高雄巡啓の折り、二日間ご宿泊になった壽山館(『臺灣記憶』より転載)は、歴史場域最高点を通過する中山大学敷地南側に設営された生態歩道とそれに沿う構内車道を横切った場所に立つ、大学職員宿舎B棟に襲われている。

壽山館とそれを取り巻いていた庭はすっかり排斥され、レンガ色の現代建築物に置き替わった。本当に何も残っていないのか?台湾ネットを渉猟すると、壽山館上方に当時設営されていた東屋(涼亭)の基礎残骸が「登山道」脇に残っていることが判った。この登山道が実在するのであれば、裕仁親王「登山記念碑」跡地までも辿れるかもしれない―と勝手に想像を逞しくして、先ずはその登山道口を探しに出掛けた。

職員宿舎の裏側の山域に入り込めそうな場所は予め当たりは付いていた。そこは小さな空き地になっており、壽山では定番の国軍警告板が立ち、大学敷地と軍管制区を隔てるコンクリートの壁と鉄柵が待ち構えていた。秘密の抜け口も探し出せそうに無い。若い時ならこの鉄柵を越えてずんずん入り込んで行ったものだが、六十の坂を越したことに加え、以前寿山の別な場所で誤って管制区域に入り込み散々油を搾られた記憶が蘇って来たこともあり、直ぐに諦めた。

恨めし気に鉄柵の向こう側を眺めていたら、先ずサンゴ石の低い石塁があり、それに沿い幅広のコンクリートの階段が見えた。この階段遺構は事前にネット上では往き当たらなかったのだが、直ぐに当時の東屋に至る登山道跡だと確信、多少興奮した。筆者が探していたのは、壽山山中に無尽に張り巡らされた登山道か、それらに準じる踏み跡だったが、附近にそういう類のものは見付からず、代わりに前述の最近の踏み跡の痕跡らしきものが無い階段を見出した。

ネット上の然る調査報告書で説明されている東屋付近に付いている「登山道」とはこの階段から続く登山道、即ち「展望道」なはずだ。同報告書に依ると、東屋までの距離80b、現時点では非常に遠く、況や「登山記念碑」跡地をやと云うことになる。以上、適所をGoogle Mapに落とし込んだ俯瞰図を参照願いたい。裕仁親王の歩かれた当時の登山道を前出の研究報告書に依り緑の線で引いた。

さて、この投稿を書き終えた後、日本時代の高雄市の地図がネット上で(無料で)公開されていないか?と虫の良い希望を抱きつつネットを渉猟していたら、中央研究院(Academia Sinica)下の地理資訊化学研究専題中心が提供する『臺灣百年歴史地圖』と云うサイトに当たった。これは筆者がこれまで出会った内外のサイトの中で最高級のものだと判ったのには少々時間が掛かった。と言うのは、そのサイトで無料!で提供されているサービスの操作を理解するのに時間を要したからだ。そのサービスの中身は、正に新旧の時空のマージ(合体)である。具体的に言うと、例えば、日本時代の高雄市市街地の地図を現在のGoogle Mapに自動的に重ね合わせてくれるのだ。しかも瞬時にして。しかも、Googleに重ね合わせる地図は透過度を替えられるので、新旧の変化が一目瞭然、筆者は完全に脱帽した。このサイトでは、戦前〜戦後に渡り、台湾全土と高雄を含む13主要都市の古地図のコレクションになっている。高雄に限れば80枚の地図が掲載されている。ここまで辿り着いたのは、登山街は日本時代、実在していたのか?実在していれば何と呼ばれていたのか?何故今「登山」街と呼ばれるのか?と云うのが興味の主体であった。いずれにしても、先ず、「高雄市街計劃圖」(昭和12年/1937年)とのマージを試みてみた。その結果から色々言えるのであるが、現在の登山街は嘗て高雄市湊町(みなと・ちょう)の北側境界を形成していたこと、壽山館と高雄神社の位置は正確であること、現在の登山街80巷から壽山館を経て裕仁親王の登山記念碑(前出地図上では「行啓記念碑」の標記)までの所謂「展望道」は地図上で明確に記載されていること、当時既に「ゴルフリンクス」と洒落たカタカナ書きが存在したこと。。。(続く)
posted by 玉山 at 00:00| 台北 ☔| Comment(0) | 壽山古道 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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