2020年02月08日

特富野古道−9達那社−3

Kodou-2203.jpg Kodou-2204.jpg Kodou-2205.jpg
【写真説明】ツォウ族の戦祭「マヤスビ」は極めて著名である。本投稿本文中で詳細を解説しておいた。毎年ツォウ族二大大社であるトフヤ社と達邦社で各々挙行される。筆者が尋ねた折は丁度達邦社の戦祭の前日、2月14日だった。トフヤ社の戦祭も同時期に挙行(一週間違いとか)されるはずだが、当時トフヤ社の戦祭に関わる何物にも遭遇しなかったはずだ。例に依り筆者の記憶が跳んでいるのかもしれない。左写真は達邦社のクバ近くの住居壁に貼られた戦祭案内幕、毎年更新されるのかどうか?は判らないが、ビビッドな色使いが戦祭の性格を表している。中央写真はクバ正面前に設けられた戦祭観覧席である。右写真は達邦社のクバの軒に掛けられた伝統道具なのだが、「敵部族の頭骨を保管する籠」では無さそうだ。

行政院原住民族委員会の公式サイト『臺灣原住民族資訊資源網』の「歳時祭儀年表」二月の項の戦祭の解説を拙訳で紹介する:

ツォウ族は戦祭を「マヤスビ」と呼び、男子集会所である「クバ」(Kuba:現代台湾では庫巴の表記)の前で挙行される。トフヤ社(特富野)と達邦社(タッパン)のツォウ族二大大社に尚受け継がれている。一連の祭儀の中でマヤスビはその核心である。阿里山ツォウ族にとって、マヤスビは彼らと神の間の最も直接的な宗教祭儀活動であり、戦神祭儀、道路祭儀、少年初回集会所登壇儀式、成年祭儀等一連の祭儀が含まれる。ツォウ族は歌と踊りで戦争の神々や先祖を賛美し、祭儀は二晩三日に及び、祭儀を通じ長幼の秩序、歴史と文化、社会倫理等の知恵を学んで来た。

ツォウ族の伝統的な部族生活では、男性の主な任務は戦争と狩猟である。マヤスビは戦争の神々のために祈る特別な儀式であり、戦争の神々に天祐を求め士気を研ぎ澄まして貰うものである。マヤスビは伝統的なツォウ族男性の生涯に渡る祭儀であり、マヤスビに参加しないツォウ族男性が社会的地位を得ることは不可能だ。

マヤスビ祭儀のプロセス、即ち歌と踊りの観点から見ると、人と神、そして人と人との倫理秩序が明確に按排されていることが判る。例えば、舞踊団の衣服、歌唱の中に、代表的な社会的地位や歴史的な勲功が分別されている。従って、マヤスビはツォウ族の倫理、規範、精神的な強さの大きな柱である。ツォウ族がマヤスビの祭儀を維持できない場合、その部族は取りも直さず伝統社会を放棄し、他部族との戦闘能力が失墜すると言われる所以である。(続く)

posted by 玉山 at 00:00| 台北 ☔| Comment(0) | 特富野古道 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。