2016年12月10日

安通越嶺古道−8

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【写真説明】安通越嶺古道の古名である「成廣澳道路」の由来と日本人・日本時代の一部を披歴してくれる、台東県成功鎮小港の忠孝国民小学校に今に残る日本黒松。本黒松の紹介文全訳は当投稿記事中に掲載。下掲写真は、同小学校に隣接する忠孝派出所。何故、こんな写真を撮ったか?二本の門柱が恐らく日本時代のものと踏んだからだが、撮影時は全く意識していなかった黒松が僅かながら同写真左隅に写り込んでいる。同じく、投稿記事中の日本黒松の紹介文を読んで欲しい。

『安通越嶺古道−2』の中で、同古道の古名は「成廣澳道路」と呼ばれていたと紹介した。成廣澳という地名は今現在は残っていないが、「澳」の文字があるので海岸地形、或いは漁港を連想させるし、「成」は台東県成功鎮を連想させる。その通りであるが、現代の安通越嶺古道たる省道30号線は海岸山脈を越え、太平洋岸台東県長濱郷寧埔村に降りて来る。林務局に依り整備された安通越嶺古道東段の起点は北隣りの同県同郷竹湖村なのである。台東県成功鎮は、長濱郷の南隣の行政区域なので、オリジナルの安通越嶺古道、即ち広東飛虎軍指揮下開鑿の成廣澳道路は単に太平洋岸に到達した後、そこで任務を完了したのではなく、海岸線を更に南下し、少なくとも当時成廣澳と呼ばれた地点まで兵を進めたはずだ。

省道30号線は太平洋岸を走る省道11号線と寧埔村で合流するが、この地点と11号線で南に結ばれた成功鎮の中心都市成功のほぼ中間点に「小港」と云う漁港がある。筆者の手元の台湾市販地図には「小港(成功澳漁港)」の記載がある。「成廣澳」は実は同地である。日本時代は成廣澳と呼ばれ、やがて「小湊」(こみなと)と改称される。同地は、日本時代の行政区画では、台東庁成廣澳区だった。これに対し、成功鎮の中心都市であり、今でも台湾有数の成功魚港は、今現在は「新港」が正式名称のはず(但し、筆者の手元の地図では「成功(新港)」の記載)であるが、既に日本時代からそう呼ばれていた。小湊(成廣澳)に対し、その後開発されたので新港なのだ。

因みに、成功漁港は台湾有数の漁港と書いたが、筆者自身は何処かで台湾三大漁港を列記したことがある。そして成功はその中の一つと思い込んでいたのだが、この記事を起こすに当たり台湾サイトで調べてみたら、諸説あるようだが、高雄、基隆、蘇澳の三港が一般的なようだ。

さて、どういう切っ掛けで今回掲載した日本黒松に巡り会えたか?記憶に無い。尤も、台湾東海岸を貫く幹線道路たる省道11号線沿いにある小学校である。その小学校の校庭南側に設置された木製のテラスの中にある以下の案内板(中文のみ)を読めば、「成廣澳」の在り処と日本時代の関係が良く判るので、拙訳で紹介する:

『台湾で最も独特な日本黒松』(東部海岸国家風景区管理処)

忠孝国民小学校は、台湾東海岸の学校の中でも最も早く創立された一校である。創立は1904年(明治37年)10月、創立時は台東国語伝習所成廣澳分教場と呼ばれ、翌年、台東公学校成廣澳分校と改称、1907年には独立して成廣澳公学校となった。1937年(昭和12年)には小湊公学校と改称されている。1946年には忠孝国民学校となり、1968年に始まる義務教育9年延長化施策に伴い、忠孝国民小学校となり今に至っている。

現在忠孝国民小学校の校庭にある日本黒松は、創立時の1904年、台東国語伝習所成廣澳分教場時代に、台東庁内の日本人が故郷を偲び、海路はるばる日本から苗を運び込んだものである。現在の忠孝国小内の敷地内の北側に二本、南側に八本が植えられた。校舎を立て直すに当たり、これら日本黒松の歴史的価値を尊重し、北側の二本を移植することになったが、王金地校長はこれら二本の移植を潔しとせず、校庭を東側に移動させることに依り、北側二本をそのままの位置に維持させることにした。これに依り、忠孝国小は、台湾の中で唯一日本黒松が校庭内に存在する公学校となった。

同時期に持ち込まれた日本黒松の苗は、忠孝国小と忠孝派出所敷地内に移植されたが、第二次世界大戦とその他種々の原因に依りすべてが完全に生き残ってはおらず、それだけに今現在忠孝国小の敷地内に残っている日本黒松は、台湾東海岸の中では完全に保存されている例である。(続く)


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posted by 玉山 at 00:00| 台北 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 安通越嶺古道 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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