2016年11月26日
安通越嶺古道−6
【写真説明】安通越嶺古道が乗り越す部分の海岸山脈の標高は千メートルにも満たないが、古道沿線で観察される植生は豊富である。過去弊ブログの何処かで書いたのだが、年中海岸から吹き上げられる強い風で気温が然程上がらない為に、通常はかなりの標高幅に分布する植生が圧縮された標高幅に分布する現象は、恐らく海岸山脈沿線にも当たるのだと思う。それが影響しているのかどうか判らないが、西段沿線に台湾の冬季に開花している三種の蘭を見付けた。最近は山中で可憐な台湾野生蘭を見掛けても、カメラを向けるのが億劫になりつつある。二回目の安通古道西段踏査の際にも一応記録として撮影しただけ、この稿を起こすに当たり、萎み掛けた好奇心に火を燈そうと、気合を入れて、鐘詩文著『臺灣野生蘭圖誌』(2015年12月、猫頭鷹出版)、箱入りの990台湾ドル豪華版を購入した。台湾の野生蘭は数千種に及ぶと勝手なうろ覚えに任せていたが、実は「浸水営古道−8」で500種と云う具体的な数字を筆者自身で書き込んでいるのを確認した。台湾サイトを新ためて渉猟し、正確な数字を探してみたが、どうも400種前後のようだ。『臺灣野生蘭圖誌』に収録されているのは409種、57属380種と云う紹介も見たことがあるが、要は台湾特有種が400種前後で、外来も含めて500種ぐらいになると云う意味かもしれない。それにしても、大部の図鑑から僅か三種を特定するのは、骨折りな作業である。悪戦苦闘して何とか探し出した。上掲三枚の写真は樹上に繁殖する長葉羊耳蒜(学名にHayata:早田 文藏)である。下掲左写真は、阿里山根節蘭(学名にHayata)、根節蘭とは日本で謂うエビネのことだ。同右写真は、挿天山羊耳蒜(学名にFukuy:福山伯明)、開花前である。三種いずれとも、台湾山中に広く分布しているようだ。(続く)
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