2016年09月10日
『水の古道』曹公[土/川]−11
【写真説明】構造上「五孔圓拱閘門」と呼ばれる曹公旧[土/川]取水口水門。左、中央写真に見られるように水門が五分割されているからである。道光年間起工時の「曹公[土/川]」と光緒年間修復時の「重脩(修)曹公[土/川]」の二枚のプレートが嵌め込まれている。左写真古水門上部、並びに、中央写真右側上部が史蹟公園駐車場。下掲写真は、それら二枚のプレートの拡大写真。但し、今に見る古水門は日本時代再建だが、二枚のプレート並びに上掲載写真に写る水門足下の五個の煉瓦が露出した構造物が清代遺構。
筆者自身が見てみたいと思っていたのは、古水門では無く、曹公旧[土/川]の紹介に頻繁に使われる「曹公[土/川]」と刻まれた石板プレートである。古水門に辿り着き、その古水門の頭を見た後も、石板プレートは高雄農田水利会の建物の中か、塀の外側から見える構内に設えられた涼亭付近に保存されているのではないか?と思いあぐねていた。古水門全体を眺める為には、駐車場横に設けられた古水門脇の階段を降りる必要がある。筆者もそうしたのだが、古水門を正面から臨んで驚いた。大小二つの石板プレート―其の内の一つは「曹公旧[土/川]」―は、古水門中心に嵌め込まれているではないか!
今に見る古水門が道光17年(1837年)起工時そのままとは思われない。既に180年以上を経ているからで、当時コンクリートを使用したかどうか?は大いに疑わしい。煉瓦・漆喰の類と考える可きで、日本時代に再建したと考えるのが妥当だ。但し、二枚のプレートは各々道光、光緒年間のものなので、日本人は再建に当たりそのままプレートを残したと思われる。この点も当時の日本人は偉かったと頭が下がる。日本時代の水利古蹟としては第一級だと思う。一見の価値あり。(続く)
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック