【写真説明】左写真は六亀特別警備道藤枝段の北側終点、警備道自体は同写真奥に延びているのだが、遊歩道が横切る地点で立ち入り禁止となる。同写真右側は、警備道脇に沿い設けられた側溝遺構、中央写真は、その側溝遺跡を明瞭にする為に、遊歩道東側から警備道終点越しに西側を望んだもの。右写真は警備道終点に建てられた警告標示。下掲写真は、警備道と併行して稜線上に設けられた西施花遊歩道の一部。
藤枝段の終点は、前回の投稿記事で紹介したように、西側に迂回する西施花遊歩道と稜線を北側に進む警備道が交差する地点で鞍部となっている。そこには、林務局作成地図に謂う「石砌排水涵洞」、日本時代の側溝だろうと想像される遺構がある。同地図は又「六亀警備道(路跡不明)」と注記してある。現場には「遊客勿入」、つまり立ち入り禁止の標示板が立つ。その先は、実は歩けそうであり、実際歩けるはずだ。機会を待とう。
六亀特別警備道藤枝段の記事を終えるに当たり、以下これまで縷々と叙述して来た内容のダイジェストを加えることで、全長65キロに及ぶ警備線の凡そ六十分の一に過ぎない段のイメージを本ブログ読者に聊かでも感じ取って貰いたいと云う願いを込めて。。。
-六亀特別警備道藤枝段は、元京都帝国大学演習林内に造営された藤枝国家森林遊楽区内に整備・保存されている全長約1キロの部分である。
-2009年のモーラコット台風後の道路修復工事が継続されており、今現在も藤枝国家森林遊楽区は閉鎖のまま、その入口まで車では入れず、約2キロ程手前の道路上に駐車して同園区内最高峰であり且つ台湾小百岳の一座である東藤枝山を目指す。山登りの経験が無ければ、勾配の急な抜け道を通り、山頂までは相当きついはずだ。
-東藤枝山三角点南側直下の休憩所広場が「岡部」、三角点北側の歩道始まりからが残存六亀警備道、途中から園区内歩道と別れており、そのまま稜線上に敷設されたのが園区歩道、稜線西側に警備道がそのまま続き、約1キロ先で警備道と歩道が合流、警備道は更に続くが立入り禁止、ここからが園区外となるが、踏み跡に乏しく何処まで辿れるか不明(但し、サイト上には踏査記録あり、「沼津」には分遺所そのものの建築遺構がある模様)。
-この六亀警備道藤枝段と通称される部分にあるのは「丸子」と「府中」、「府中」跡地にある案内板には園区内に四箇所分遺所跡地がある旨記載されているが、「岡部」「丸子」「府中」以外の跡地は林務局の歩道地図上には記載が無い。
-一般向け歩道地図に記載された「藤枝駐在所跡地」とは「府中」分遺所跡地である。つまり「藤枝」の所在不明。
-六亀警備道は全線稜線上に開削されたものと考えていたが、この藤枝段は、稜線下にほぼ平坦に開削されている。
-六亀警備道の一番の特徴は路側の精緻な石塁であるが、今まで私が見た中では、この藤枝段の山側石塁が最も精緻、隣に現代のお粗末園区歩道が併設されているので、東藤枝山頂上と「府中」跡地を往復併せて歩くと、それらの違いが判り面白い。(終り)
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