2016年06月18日
『水の古道』后里[土/川]−7
【写真説明】泰安旧駅構内に駄菓子屋風の茶店があり、そこに明らかに子供の気を引く為の意匠の飲料水が並べられていた。その飲料水の製造元は左写真、更に詳しい解説カードが中央写真、その解説カードの右側の拡大写真が右写真である。要するに飲料水とは「ラムネ」なのだが、台湾国語では「弾珠汽水」、「弾」とはあの独特なラムネ瓶の括れた部分に嵌め込まれた目玉のことだ。面白いと思ったのは、「大補内」の漢字を充て「ダブル」と読ませていることだ。しかもカタカナ書きである。
実際は左写真を見ると判るが、「ダブル・ナイス」が漢音訳に込めた意味のようだ。解説カードにあるURLにアクセスして看ると、「納姆内」がラムネの漢音訳になっている。「ラムネ」と「大補内」の関係に悩んだ。
「大補内」の台湾語発音は「ドア・ボ・ライ」に近く、ラムネからは程遠い。ということは、この苗栗の業者は自社製ラムネに「ダブル」と云うブランド名を被せたと云うことだろう。他業者のラムネに比べ二倍おいしいと云う宣伝を込めて。商品に堂々とカタカナ表記しているが、前述のサイトを閲覧する限り、日本時代のメーカーを継承したものではなさそうだ。台湾のラムネで著名な場所は、花蓮県蘇澳冷泉のもので、こちらの歴史は日本時代に遡る。尚、ラムネ自体も由緒正しき歴史を持っており、日本人発明の物では無いことをこの記事を起こすに当たり、初めて知見を得た。
ラムネの余談を一つ追加して、后里[土/川]シリーズを一旦クローズすることにした。一旦としたのは、実は后里[土/川]に関連した最大工業遺蹟(バリバリの現役だが)は、后里発電所(正式名称は、台湾電力大甲渓発電廠后里機組)なのだが、ここの踏査が漏れているからである。泰安旧駅周辺の踏査から高雄への戻り途中、当該発電所の濃い緑の複数の水管を自動車のドア越しに目にした時に、それらが日本時代から続く発電所のものあるのは直ぐに判ったが、残念ながら時間が押していた。(終わり)
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