2014年01月18日
淡蘭古道−8
【写真説明】雄(オス)・雌(メス)の番(つがい)の二文字が現存する台湾鎮総兵劉明燈揮毫に依る「虎字碑」。草嶺古道上の人文景観を代表する遺物。。。雌字碑は草嶺古道最高点北側下に左写真のような状態で現存、中央写真はその拡大、雄字の方は元々は現在の北宜公路(省道9号線)の最高点付近にあり現在はレプリカが現地にある。実物は新台市坪林区市街地内にある茶業博物館庭に移設されており、右写真はその拡大。下掲左写真は、大里ビジターセンター内にある番のレプリカ。同右写真は、草嶺古道北側下段に位置する、巨大な蟹の甲羅を連想させる巨岩に刻まれた同じ劉明燈揮毫の「雄鎮蠻煙」碑。
<草嶺古道−3>
草嶺古道の人文景観を代表するものが、先に触れた劉明燈揮毫の二基の石碑である。共に古道最高点−福隆間の北側山腹上方に鎮座する。古道最高点近くにあるのが、「虎字碑」と呼ばれている草書体「虎」(註14)一字の高さ1メートル半程の石碑、彼自身が草嶺を越える時に暴風雨に遭遇、それを鎮める為に、ススキの穂を筆にして現地で文字通り一気呵成に書き挙げたという故事が残る。尚、この草嶺古道上の虎字は雌である。雄は、今は坪林(新北市)にある茶業博物館構内に現物が保存されている。又、これら番(つがい)の石碑レプリカは大里ビジター・センターにも陳列されている。
虎字碑より更に一キロ程下ると、蟹の甲羅を想起させる巨大な自然石に「雄鎮蠻煙」(雄して蠻煙を鎮む)の四文字が幅凡そ3メートル、高さ凡そ1メートルのスペースに楷書体で彫り込まれている。こちらは劉明燈が当地で大いなる濃霧に遭遇、方向を見失い立ち往生、「蠻煙」とはその霧に紛れ込んだ魔物、悪霊の意、それらの退治を決したものだ。先に紹介した金字碑も含め劉明燈揮毫の石碑三基は何れも同治六年の銘を持ち、すべてが国家三級古蹟指定である。つまり、優れた書家でもあったのだ。(>(メルマガ「台湾の声」2012年11月10日掲載分の一部を改編)(続く)
(註14)出典は『易経』の「雲従龍、風従虎」(雲は龍に従い、風は虎に従う)。
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