2013年07月13日
蘭嶼−9
【写真説明】台湾各地にはいまだに日本時代に設置された測候所遺構が残る。蘭嶼測候所もその一つ。島の中央山脈脊梁とも呼べる位置にあり、東西に延びる山並みと南北の海岸を見渡せる、何とも形容しがたい360度の絶景が広がる。熱帯の太陽が強烈に照り付け建造物以外に遮るものはないが、そこを吹き抜ける風も又絶品である。上掲の三枚は現在の測候所の様子。左写真の中央奥に日本時代の測候所遺構が覗く。右写真は測候所から望む東清湾(太平洋)と島の最南端に位置する大森山(同写真右奥の尖峰、標高483メートル)に至る稜線。下掲の二枚は測候所遺構、外観と内部の様子。
<「風の百選」>
何を期待して蘭嶼を訪ねるにせよ、「台湾の声」の読者に是非立ち寄って欲しい場所は、自動車道の最高点にある測候所(正式には交通部中央気象局蘭嶼気象站)である。
ここは前述のように紅頭村と野銀村を結び、蘭嶼を南北に横断する道路の最高点に位置する。島を囲む太平洋となだらかなスロープを繰り返す山々の緑の絨毯の取り合わせは絶景である。又、ここを吹き抜ける風も一品である。景観、水等の百選は今や何処でもポピュラーであるが、風の百選は聞いたことがない。台湾の風百選が募集されれば私は蘭嶼測候所を推すことにしている。
この測候所は1940年(昭和15年)に開設、私が二日間の滞在で確認した唯一の日本時代の遺構である。構内には、大東亜戦争時の米軍戦闘機に依る弾痕が残る建造物がある。 >(メルマガ「台湾の声」2012年05月01日掲載分の一部を改編)(終り)
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