【写真説明】獅仔頭山には東西各々に登山口があり、東側は獅子の頭、即ち獅頭、西側は獅子の尾っぽ、即ち獅尾と呼ばれている。上掲左写真は平廣路上の獅頭登山口、中央写真は新潭路経由獅尾産業道路終点の獅尾登山口。右写真は、新潭路と獅尾産業道路との分岐点に立つ指導標。下掲写真は、獅頭登山口に立つ新北市観光旅游局に依る案内板。今回記事に掲載の写真はすべて2012年撮影。
これまで紹介してきた古道は、その最終形態が日本統治時代の台湾総督府の原住民に対する「理蕃道路」だったものが多いが、今回は多少成り立ちの異なる古道を紹介する。今回の記事タイトル冒頭の新店、即ち新北市新店区(註)は現時点では大台北地区MRT(メトロ台北)の最南の駅だ。
<新店市中の二つの獅頭山>
新北市は、所謂大台北の山好きな人々に広範で多様な山歩きのコースを提供している。その為、新北市に入るとすぐ気付くのが、適宜敷設されたチョコレート色の小振りな「歩道」の道路標識である。歩道とは現代の日本語とは少し異なり、遊歩道とか登山道を意味する。当該古道の道路標識上の表示は「獅仔頭山歩道(隘勇線)」で、わざわざ括弧付きで「隘勇線」の文字が印刷されている。もともと「台湾の声」で獅仔頭山古道を紹介した際のタイトルは「新店獅仔頭山歩道−隘勇線」、その道路標識上の記載を借りてきたものだ。
本古道の新北市(観光旅游局)に依る正式名称は「新店獅仔頭山隘勇線登山歩道」であるが、本ブログに於けるカテゴリー名としては「新店獅仔頭山古道」を用いた。
実は、新店区中には別に「獅頭山歩道」の道路標識もあり、筆者も隘勇線を襲った方の歩道を目指し新店市内に入った時、「獅頭山歩道」の標識を追い掛けてしまい非常に混乱したのだが、市販の地図を見ても、新店区内には二つの「獅頭山」が存在することになっている。一つは市街地内であり、もう一つは同市三峡区との境界に近い山中、即ち今回の記事の対象である獅仔頭山だ。
台湾で公共の道路標識に今や歴史用語になった「隘勇線」の表示があるのは、恐らくこの台北県新店市だけではないかと想像するのだが、二つの獅頭山を区別する為にわざわざ「隘勇線」の文字を書き加えた可能性もありそうだ。
又、「台湾の声」投稿記事のタイトル、並びに、本ブログでの古道カテゴリー名に、道路標識上には存在しない「新店」の文字を加えたのは、台湾には獅頭山、或いは獅仔頭山の名前を持つ山、若しくは山号としている廟は多いからだ。その中でも最も知られているのは、苗栗県三湾郷にある国家風景区に指定された場所で、読者の中にも足を延ばされた方があるのではないかと思う。>(メルマガ「台湾の声」2008年6月21日掲載分の一部を改編)次回へ続く...
(註)メルマガ「台湾の声」投稿時は、台北県新店市だった。
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