2012年12月08日
蘇花古道−22(大南澳越嶺段−5)
【写真説明】左写真は現在の省道9号線が南澳嶺を越える段に設けられた新澳隧道北口で、旧省道との出会いでもある。このトンネルは1983年に完工、この時点で、新省道9号線が開通したのだが、新線は花蓮方面への南下り専用であり、蘇澳方面への北上りは旧省道を継続使用していた。1985年に旧省道上で大崩壊が発生、修復を断念、これ以降、上下線とも新線、現行の省道9号線を使用している。新澳隧道北口は同時に、蘇花古道南澳越嶺段北口でもあり、同写真左端にゲートが写る。進入禁止の赤い警告板(中央写真)が開け放たれたゲートの脇に立つ。ゲートの反対側には古道への指導標(右写真)。。。このまま入っていいのかどうか?入れるとしたら車での進入はOK?複雑なシグナルを受け、暫し佇んでいた。
D案の前置きが随分長くなってしまった。蘇花古道南澳越嶺段北口を目指し、時間が許せば北口から暫く朝陽村側に開いた南口方向へ下ろうというのがD案、時間の関係で北口までは自動車で入ることが前提だった。
前述写真説明でリンクさせた林務局作製の地図上部を見ていただくと、同地図の上側は切れてしまって判りにくいのだが、現在の省道9号線の東側を走っていた旧省道は、新澳隧道の北口で現在の省道と出会う。南澳嶺最高点北側に軍事レーダー施設があり、この出会いからその軍事施設までは暫くは旧省道をそのまま利用した軍備道が付けられている。地図で見る通り、北口まで至るにはぐちゃぐちゃに曲がった軍備道を辿る必要があるが、途中で迷って引き返さざるを得ず、北口には辿り着けず。下掲の三枚は、現在は軍備道として利用されている旧省道の景観。
余談だが、林務局の同古道の解説の中で「植群圧縮現象」という面白い単語を見付けた。その解説に依ると、南澳嶺一体は、激しい海風が吹き付け、加えて濃霧が発生し易いので、気温の変化が激しく、植生の垂直分布が比較的海抜の狭い範囲内で現出する。通常は海抜1,000メートルの範囲内で観察される植生帯が、同地では海抜500メートル内に「圧縮」して観察される。さて、日本語では同現象を何と呼んでいるか?―「垂直分布帯の寸づまり現象」。(続く)
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