2006年11月26日

霞喀羅古道−12:横龍古道

Kodou-24.JPG【写真説明】苗栗市から快速公路72号線を東に走ると終点は獅潭郷[シ/文]水、省道3号線に行き当たる。これを南側に乗り換えるとすぐに大湖郷に入り、苺畑が3号線の両側に広がる。大湖は台湾における有数の苺の里である。街中には日本時代の家屋がいまだに多く残る。写真は省道沿いで見掛けた日本家屋、二階建ての大振りの家屋であるが日本時代から個人の邸宅だという説明を受けた。

再び備忘録である。これを以って霞喀羅古道関連のブログを一旦閉じることにする。

台湾総督府警務局作成の大正13年作成の30万分の一台湾全図を見ると、北坑渓古道とは別に、清泉温泉(日本時代:井上温泉)から南下、鹿場を経由し現在の苗栗県泰安郷泰安温泉(日本時代:上島温泉)に降りて、泰安温泉郷沿いを流れる[シ/文]水渓を渡り、再度山中を登り返し二本松に抜けていく警備道があることが判る。この警備道は現在国家歩道には含まれていないが、鹿場連嶺道の一部を形成している。泰安温泉郷内の錦水村(日本時代:[シ/文]水)龍山部落(日本時代表記はスワシャカ社か?)から背後に控える横龍山頂上までを現在は横龍古道と称しているようだ。古道というより横龍山(標高1,318メートル)への登山道という性格が強い。

嘗ての警備道は龍山部落から出発して横龍山の南側斜面をぐんぐん登っていく。しっかりしたコンクリートの道路が約6キロ程続き、その先に古道入口があることになっている。「ことになっている」という意味は結局そこまで辿り着けなかったからである。3キロ程進んだところで我々の既に十四、五歳にはなろうトヨタ・カローラのラジエーターが信じ難いことに突然破裂した。実はその時は、時間が押していたので龍山部落だけを訪ねてみようとして、温泉郷を貫く県道62号線沿い、[シ/文]水渓北側にある錦水飯店から上がると、目指す部落はそのホテルのすぐ上にあったので、欲を出して更に古道入口を確認するのが目的だった。車の牽引に骨を折って貰った龍山派出所の警官に、ここを車で上がるなら四駆か新車が必要、さもなければ途中適当な箇所に駐車して歩くのが無難と諭された。古道入口までの道路の急さ加減は押してしるべしである。

泰安温泉郷の存在は以前は全く知らなかったので、ちょっと立ち寄ってみようという軽い気分で出掛けた。苗栗市と大湖を含む省道3号線を結んでいるのは省道6号線であるが、これに快速公路72号線が加わった。お陰で苗栗市から苗栗県の東側山間部へのアクセスが非常に便利になった。72号線の東側終点は[シ/文]水渓の河口、獅潭郷[シ/文]水である。但し、もともと[シ/文]水と呼ばれていたのは、獅潭郷と[シ/文]水渓を境にして接する泰安郷側にある[シ/文]水、現在[シ/文]水国民小学校がある一帯である。[シ/文]水小学校の前身は嘗ての[シ/文]水蕃童教育所である。

ところで快速公路とは、高速公路沿線から離れた主要都市、或いは複数の高速公路を結ぶ道路で、実質は高速公路と同じ信号フリーが殆どであるが制限速度が異なる。高速公路は「国道」、快速公路は「省道」、近年この二つは有機的に連関し合い、車での主要都市への移動の利便性が非常に高くなった。

快速公路72号線を降りてすぐに[シ/文]水渓沿いに東上し泰安温泉郷に到る県道62号線の入口がある。驚いたことが二つある。一つは沿線の温泉宿の多さである。それでこれらの温泉を総称して泰安温泉と称しているのだろうと想像していたが、後で調べてみると幾つかの温泉区に分かれているようで、本来の泰安温泉は県道62号線の終点、今でも「上島」の地名が残る。ここに泰安警光山荘があるが、これは日本時代の「警察招待所」を襲ったものだと云う。ここに温泉が出ることを発見したタイヤル族の老人が日本人警官に報告したところ、「賢い」日本人はこの招待所をすぐさま拵えたそうである。蒋経国がここを訪れた際、現在の泰安に改称した。泰安温泉の南方には大覇尖山を彷彿させる虎子山(標高1,493メートル)が聳える。因みに、警光山荘とは警察機関の保養所で全国に14箇所設けられているが、日本時代の警察招待所を引き継いだものが多いと思う。

もう一つは、温泉郷に入る前にある「清安豆腐街」、山中に突然豆腐の街が出現する唐突さも然ることながら、狭い道路にびっしり並ぶ車、その間を行き交う観光客の多さである。往路は急かされていたし、復路は牽引車の車上であったので、未だその人気の秘密を理解できていない。五十年の歴史を持つそうで、客家三代に依り受け継がれている伝統があるそうだ。清安は元々は洗水坑と呼ばれていた場所で、元々はマバトアン社の村、日本時代に既に清安と改名されていたようだ。今は泰安郷の郷公所が置かれている。(終)
posted by 玉山 at 18:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 霞喀羅古道 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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