2006年09月10日

六亀特別警備道(扇平古道)−8

Kodou-11.JPG【写真説明】高雄十名山の一つ、旗尾山(標高318メートル)の山頂。写真左下後方に、自然石の上に立つ「昭和十四年二月十一日建立」の銘を持つ「旗尾山祠」が見える。表、裏とも摩滅が激しく又落書きも多い。後方の建築物は涼亭と呼ばれる展望台。旗山、美濃両鎮を360度カバーする最高の展望所である。現在山行者に旗尾山と呼ばれ三等三角点を持ったこの山、台湾の地形図上には標高のみ記載され山名の記載がない。地形図上では、この山頂から北に延び旗山鎮と美濃鎮の境を走る山群を旗尾山と総称しているようだ。
六亀特別警備道の紹介はこの記事で一旦終わりにする。

「祠」は最近では「分祠」(ぶんし)という単語がメディアに氾濫しているお陰でよく目にするようになったが、祠一文字を取り出しこれを「ほこら」と読める人は漢字力が低下していると云われる若い世代の間では少ないのではないかと思う。更に、「ほこら」とは何ですか?と問われれば、そうそう的確な回答が返ってくるとも思われない。斯く云う私自身も、何故か「ほこら」を「うつろ・うろ」(洞)と関連させて(実際は全然関係が無い)覚えていたようなお粗末な次第。「(『ほくら(神庫)』の転という)神をまつった小さいやしろ」(三省堂提供「大辞林 第二版」)というのがその答えで、日本全国のあらゆる街角に様々な様式で存在する。

台湾に初めて行った時は、田畑の袂に慎ましやかに佇む土地公から日本人にはけばけばしいとしか思えない壮大な媽祖廟まで、その信仰対象物の多さに驚き、誰かが台湾人は迷信深いと言えば成る程と納得していたのであるが、何のことはない、日本も同じではないかと気付いたのは台湾に行ってからのことである。

台湾にも「何々祠」と称された日本時代に作られたものは数多く残っていると思われる。思われると書いたのは、台湾の平地に残存するであろうそれらをこれまで意識してみたことがなかったからである。祠の性格からして山頂にも盛んに設けられたと想像されるが、少なくとも私がこれまで目にしたことがあるのは、ここ旗尾山頂以外では玉山西峰(台湾百岳24号、3,490メートル)山頂と北大武山(台湾百岳92号、3,092メートル)の稜線上に位置する大武祠の三箇所のみである。玉山西峰のものは明らかに戦後新しいものと交換されているが日本式祠を忠実に再現した木製、大武祠のものはコンクリート製である。因みに玉山主峰のものは戦後撤去された。

台湾に今でも残る大振りの鳥居を残す神社遺構は紹介される機会が多いが、僅か一本の自然石を利用した恐らくは最も簡便な祠形式である旗尾山祠は特別な存在ではないかと思い紹介した次第である。

最後に周辺の日本時代遺構の紹介をもう一つ。県道184号線を北上、六亀に近付くと火炎山、又は十六羅漢山と呼ばれる礫岩(れきがん)層が露出し日本の大分県耶馬渓、群馬県妙義山を想起させる低い山群が県道脇に横たわる。台湾では珍しい景観で地質学上もユニークなことから今は林務局が自然保護区に指定している。この火炎山の下を六連のトンネルが走っており184号線の一部だったが今は使われていない。これらのトンネルは昭和12年(1937年)の竣工で、その年号とトンネル名を記した銘板が各トンネルにはめ込まれているが、すべて改竄されている。火炎山の礫岩層が最も県道に迫る部分には公園がしつらえられており、トンネルと旧県道の一部がその公園に包含されていたが、落石がひどく施設の一部が潰されたりして今はトンネル内に入らないように注意が喚起されている。このトンネルを含む日本時代の現184号線は樟脳運搬という重要な役割を担わされていた。(終わり)
posted by 玉山 at 15:10| Comment(3) | TrackBack(0) | 六亀特別警備道 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ktkrです。このトンネル、半年くらい前になりますが、少し中に入ってみました。かなりこわいですが、どうやら現在も使用されているようですね(非公式だとは思いますが)。でも、だとしたら、本当に肝試しの世界ですよね・・・夕方だったこともあり、かなり怖かったです。
Posted by ktkr at 2007年01月06日 02:09
ktkrさん、そうですね、狭い所で暗闇に包まれると異常な感覚に陥りますね。一応危険だから入るなと云う警告板はありますが、車で乗り入れている人も居ます。でも実際本当に怖いのはトンネルの中ではなく、トンネルの間を通る道路に出た所ですね。落石がひどいです。しかも石の一個一個がかなり大きいので運が悪ければ一貫の終わりです。特に雨の後は要注意です。(終)
Posted by at 2007年01月06日 10:55
文章中のトンネルは下記記事中のトンネルですね?

http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2009082602000244.html

[草カンムリ+老]濃渓氾濫で道路がずたずたになった写真を見て当地の人達はどんなに大変かと思いましたが、解決策の一つが見つかった事は良かったと思います。

落石がひどいとか、事故のないようにと祈ります。
Posted by メイウェンティ at 2009年08月26日 21:50
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