2010年10月16日
『水の古道』曹公[土川]−7
【写真説明】台湾歴史建築百景の指定されている三和瓦窯 (三和瓦廠)、赤煉瓦を作り続けて百年、これまで紹介してきた事跡と同様、省道21号線沿いにある。実際は旧鉄橋下と言ってしまっても差支えない場所である。右写真は三基ある窯の内の一つ。念の為に断っておくが、古蹟ではなく、現役の工場である。
1913年(大正2年)創業、極上のサイト(「高雄県国民中小学/校外教学資源整合」)でも、私が最初にこの怪しき赤煉瓦の塊が何であるかを知ったサイトも、この煉瓦屋さんが国家三級指定古蹟だと明記している。台湾版ウェキペディアで確認(2010年9月5日改訂)したらこれはどうも事実に反する。未だに国家指定古蹟ではないようだが、台湾歴史建築百景に指定されている。
「旧鉄橋湿地教育園区」の入口に店ならぬ大きな三つの窯を擁している。これまでこの前を何回も往き来してきたのだが、その異様な店構えに尊敬の念は起きても、もう直に百年になる老舗という知識はなかった。昨年の八八水災のその後を視に行った際、それまで一度もその異様な面構えをカメラに収めたことがなかったので、ついでと言っては失礼だが、まあ、備忘録ぐらいの感じで写したのが今回掲載した写真である。その後、台湾歴史建築百景に指定されているのを知り、この瓦屋さんに誠に失礼なことをしたと思った。由緒正しき三つの窯が並んでいる様を写真に収めていないからだ。この窯、台湾南部では亀仔窯と呼ばれるそうだ。
台湾版イエローページでは、この瓦屋さんの正式会社名称は「三和瓦窯 (三和瓦廠)」、上掲の写真で看板が前者、括弧の中が工場の壁に意匠されている。何故、括弧付きの名前を加えてあるのか私では判らない。同じイエローページで営業項目の項には実に夥しい種類の焼物(という表現は正しいのか?)が列記されておりとんと判らないので省く。ざっと思い浮かぶだけでも、瓦、磚、磁、煉瓦。。。一体どう使い分けるのか?これは深みにはまりそうなのでこれ以上は進まない。面白いのは、「産業分類」と「会社紹介」の項で、各々以下のように記載されていることだ。
●景観育楽, 窯磁磚瓦
●古蹟古[厂/昔]修護磚瓦建材、磚瓦文化教育、磚瓦創意商品開発
現在、赤煉瓦焼会社は台湾には5社しか残っていないそうだ。苗栗に一社、台南三社、そして高雄の三和である。これら5社が、例えば、全台湾の古蹟の修復・復元を支えていることになる。因みに、日本の典型的な瓦である黒瓦は台湾ではその技術は途絶したそうで、日本から輸入するのだそうだ。
いずれにしても、前回記事の冒頭での疑問、何故煉瓦を利用した観光用の意匠なのか?の二つ目の回答が三和瓦窯 (三和瓦廠)である。ここまで曹公[土川]は7回の記事になったが、これまで掲載した写真で赤煉瓦と無縁な写真は第2回目分だけである。
最後に。。。曹公[土川]の曹公とは、清朝より赴いた鳳山県県令、曹謹剛のことである。(了)
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