2008年11月01日

恒春卑南古道(阿朗伊古道)−16

Kodou-288.JPG Kodou-287.JPG Kodou-289.JPG
【写真説明】左写真は瓊麻工業歴史展示区内に栽培されている竜舌蘭、麻の原料である。中央写真は同区内に残る台湾繊維株式会社恒春麻場の宿舎跡。右写真は同区内に残る鳥居。

[瓊麻工業歴史展示区]
墾丁国家公園管理処では「瓊麻工業歴史展示区」を観光客に提供している。場所は、高雄方面から来ると省道26号線を原子力発電所入り口手前で右折し暫く行くと、竜舌蘭の葉を模したロケット状のモニュメントが左手に見えて来る。元々は大正2年(1913年)開場の「台湾繊維株式会社恒春麻場」である。

明治35年(1901年)アメリカ領事を通じメキシコ産のサイザルを入手した総督府殖産局では、まず台北農事試験場で試験栽培、次いで恒春熱帯植物殖育場(現在の墾丁森林遊楽区)に移植、試験栽培の成功を受けて恒春麻場を設置した。

この旧台湾繊維株式会社の存在を初めて知ったのは片倉佳史氏の著書に於いてだが、その著書の記述と写真から、私は勝手に捨て置かれ相当荒れ果てた様をイメージし、果たして探し当てられるのか不安だったのだが、実際は一級の工業古蹟公園として整備し直されていたので実に驚いた。

まず、園内は様々な種類の竜舌蘭が実際栽培されている。戦後も同事業は国民党政府に引き継がれたのだが、往時の機械が展示され加工方法が説明されている。又、サイザル麻の利用方法もサンプルと共に展示されている。日本時代の工場内の建築遺構も保存され、更に、構内の神社の鳥居も当時のままの姿で残っている。なーんだ、この麻紐、昔は郵便小包等を縛るのによく使った、そう云えば今は全部プラスチック製に替わったな...麻紐を実際使った経験のある人は必ずそういう感想を漏らすと思う。正にその通りで、戦後も往時には日本に向け盛んに輸出されていたのだが、プラスチックが台頭するにつれ衰退、広く栽培されていた竜舌蘭の畑は、玉葱に取って替わられた。国立公園の台湾海峡側の観光スポットに向かう車で賑わう道中にあるのですぐに目に付くのにも拘わらず、訪れる人は残念ながら少ないのだが、是非立ち寄って貰いたい場所だ。>(メルマガ「台湾の声」2006年11月26日掲載分の一部を改編)次回へ続く...
posted by 玉山 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 恒春卑南古道 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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