2008年08月30日
玉山古道(新高山歩道)−4
【写真説明】タータカ・ルートと八通関ルートの登山口を結んでいるのは省道21号線。その21号線は南投県信義から八通関ルート登山口のある東埔温泉へ向かう途中、陳有蘭渓を渡る。左写真はその陳有蘭渓橋から夕刻に撮った玉山連峰。写真で一番高く見えるのは北北峰・北峰で、その右側が主峰である。東埔温泉郷内には今でも日本時代の遺物が散見される。中央写真はその中の一つ、門柱であるが、当時この門がどのような建物への入口になっていたのかは当時の写真を見てもよく判らない。筆者の背中は今は警察署である。右写真は八通関ルートの現在の登山口。
[玉山登山道−八通関ルート]
タータカ・ルートと並ぶもう一本は、現在の南投県信義郷の東埔(トンプー)温泉から入り、楽々、対高、観高、八通関、新高の各駐在所跡を経て主峰と北峰の鞍部へ上がり登頂するルートで、当初はこの登山道が最初に新高山登山へのルートとして整備された為、主要ルート、つまり日本アルプス風に言えば「表銀座」だったようだ。各駐在所の遺構は各地点とも僅かだが残存しており、鹿野忠雄の「山と雲と蕃人と」の前半の下りによく登場する駐在所でありルートだ。
偶然だったのか、故意だったのかは判らないが、登山道が新高山と北山との鞍部に登り詰めた地点の標高は富士山と同じ標高で、当時の地形図に「富士標高」の表記があり、新高山が日本最高峰であることへのこだわりが感じられる。
現在このルートの八通関(はっつうかん)までは通常八通関古道と呼ばれているが、従って同時に玉山古道でもあり、以前このブログの記事でも紹介したように、体力に応じ時間と距離を調整すれば誰でも歩ける。
尚、八通関古道は現在では玉山への登山道というより、大水屈山(だいすいくつざん、標高3,642メートル)、秀姑巒山(しゅうこらんざん、標高3,805メートル)、マボラス山(現代表記:馬博拉斯山、標高3,765メートル)への登山道として専ら使われている。理由は単純で、タータカ登山口と玉山頂上との標高差は1,000メートルぐらいしかないが、東埔温泉登山口と玉山頂上との標高差は3,000メートル近くもあるからだ。
現在この二つのルートへのアクセスを繋いでいる自動車は、西側起点の省道18号線と東側起点の21号線で、共に塔塔加ビジター・センターが終点、嘉義市内から約95キロ、玉山国家公園管理処のある南投県水里から約75キロの距離があり、この二本の省道を併せて新中部横貫道路、通称新中横と呼び、台湾中央山脈を横断する代表的な山岳自動車道になっている。
さて、今回の「玉山古道」の一連の記事は台湾最高峰玉山の紹介が主要な目的ではなく、叉、玉山は富士山より高い山なので、読者に玉山登山を薦めるわけでもない。あくまで観る対象としての玉山の紹介と、玉山古道、つまり日本時代に新高山への登山道として整備された歩道のうち、玉山登山道として現在でも使われている部分ではなく、読者でも簡便に歩ける古道の紹介が目的だ。次回以降は玉山古道の紹介へ中心を移す。>(メルマガ「台湾の声」2008年1月2日掲載分の一部を改編)次回へ続く...
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コメントありがとうございます。彩虹滝は温泉街の裏山にあるものですね。東埔温泉には何度も足を運びましたが、未だに彩虹滝まで足を伸ばしたことはありません。次回同温泉を訪ねる機会があれば行ってみます。(了)