2008年08月09日
玉山古道(新高山歩道)−1
【写真説明】写真左は国道3号線(高速道路)から玉山連峰を含む稜線を望んだもの。同写真中央より左側の半分が玉山連峰でその最高点が玉山主峰である。一度確認したことがあるが、少なくとも同高速道路上約40キロぐらいは連続して見えている。但し、実際高速道路(とその沿線の平野部)から玉山を見ようとするなら日の出前しかチャンスが無い。玉山連峰を含む稜線を西側から見ているので、陽が昇ってしまえば幾ら天気が良くても明るくなり過ぎて稜線が霞んでしまうからである。嘉義市街から省道18号線(通称「新中横公路」)を阿里山を目指して走ると、龍美辺りで玉山連峰が見えてくるが大概の人は気が付かないと思う。中央写真はそんな風景の一枚。最後方の稜線が玉山連峰で、その手前の稜線は阿里山山塊、真西からの眺望となる。遠方から玉山を探す時はこの稜線の特徴をイメージするのが便利だ。逆に、右写真は玉山主峰直下からの主峰から北峰への稜線、同じく真西からの眺望。
[玉山とイメージ]
玉山は台湾の最高峰、現在その標高は3,952メートルとされている。日本の台湾統治時代、富士山(3,776メートル)より高いことが判ってからは、明治天皇に依り「新高山(にいたかやま)」と命名され日本最高峰として君臨してきた山である。私の手元にある昭和8年発行の「新高山登山図」(注1)には3,950メートルの表記がある。戦後かなり長い間、玉山の標高は3,997メートルとされていたので、日本時代の測量が如何に正確だったかが判る。
玉山と富士山の大きな違いは、これらの山に実際登った、或いは見たことが有る無しに拘わらず、富士山の山容が外国人にまでイメージ出来る程に膾炙しているのに対し、玉山の場合、当の台湾人ですらどんな山容をしているのか固定したイメージが無いことだ。試しに台湾人に紙と鉛筆を渡し、富士山を書いてみて下さいと言えば恐らく誰でも描けるのに対し、玉山はどんな形をしていますか?と尋ねれば大概の人が答えに窮するだろうし、玉山が良く見える嘉義辺りの人に玉山はどれですか?と聞いてもまず答えられないと思う。
台北−高雄間を飛行機で移動する機会(台湾新幹線開通の煽りで、国際線を利用する以外にこの機会は直に無くなるかもしれない)があれば、隣に座った台湾人に玉山はどれですか?と試しに聞いてみればよい。
標高約2,800メートル付近に位置する玉山に最も近いビジター・センター(塔塔加遊客中心)を訪れる観光客の間からも、玉山はどこ、どれ?という声がよく聞こえてくる。戒厳令下の地理教育の影響(例えば、中国五山は知っているが台湾五嶽は知らない)もあるかもしれないが、玉山は見る角度によってその山容が千変万化する為、一定のイメージを描きにくいのがその大きな理由だと考えられる。>(メルマガ「台湾の声」2008年1月2日掲載分の一部を改編)次回へ続く...
(注1)「新高登山地図」(社団法人台湾山岳会、昭和八年六月十七日発行)
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左と中央の写真をクリックし150%拡大して見てみました。どちらにも右写真と同じように左側に二つ並んだピーク、そこから鞍部を経て右に主峰ですね。よく分かりました。
今は地形図は航空写真から直接起こす(そういうソフトがあって写真から起伏を読み取り自動的に等高線を引いていく)そうですが、これは戦前からあった技術だそうです。多分アメリカ発です。では現在では三角点等は何の役割があるのか?その航空写真を撮る際に使用するのだと思いますが、飛行機から識別できるように白いシートを三角点を中心に四辺に広げてあるのを山に登るとよく見掛けます。これぐらいしか言えませんが、その昔とにかく三角点を埋め込んだ人がおり、今もその三角点が利用されているという事実には感心しています。一個の石に過ぎませんが、苦労がぎっしり詰まっているという意味です。(了)
http://homepage2.nifty.com/seiyoukai/html/niitaka.htm
コメントありがとうございます。ご紹介のあったサイト見ました。黒川さんがあのような文章を書いていらしたとは知りませんでした。さすがにご尊父の業績を丹念に調査された結果だと思いました。(了)